病気の値段

自己負担が1割増えたときに必要なお金の備え

あなたは、病気の治療にかかる値段を知っていますか?

あなたは、あなたや、あなたの大切な人の命を救うための「お金」について、考えたことがあるでしょうか。

新型コロナウイルス感染症拡大が日本の財政を圧迫し、すべての国民が等しく医療保険を受けられる皆保険制度は存続の危機にあります。自己負担が増えたら、入院や手術、長期療養が必要な病気になったとき、いまのお金の備えで足りるかどうか……。

医療の現場であまり語られることのない、日本人がかかりやすい病気の知識や手術を含む治療法、アフターケアにかかる費用などを紹介している、医療アドバイザーの御喜千代さんによる「病気とお金」の話を紹介します。

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75歳以上の医療費の自己負担2割へ

私たちが普段、病気にかかって治療を受ける際は、治療の値段を最初に知ることはありません。治療の前に「この治療には、いくらかかりますか?」と医師に聞いても答えてくれないでしょうし、そもそも医師の多くが、治療にいくらかかるかを正確には知りません。

「日本は健康保険制度があるから大丈夫」

「民間の保険にも入っている」

そう考えて安心していませんか?

しかし、2000年以降、高齢社会が加速したことで医療費が増大。それに加えて今回のコロナ対応により、休業補償やワクチン接種など想定外の費用がかかることになっています。健康保険料を支払うことで窓口負担は1〜3割程度だった医療は、この負担率をいつまで維持できるか不安を感じる状況になっています。

事実、政府は2022年度以降を目標に、現在、医療費の自己負担が1割の75歳以上の人を対象に、2割に引き上げる方針を打ち出しています。このままでは、現役世代の3割負担も将来、4割、5割と負担が増える可能性があります。

日本には、収入や年齢などに応じて、ひと月に支払う医療費の限度額が設定される高額療養費制度があります。しかし、高額療養費制度は原則として申請が必要で、支給までに少なくとも3カ月程度は時間がかかります。

仮に医療費に100万円かかったとしたら、3割負担の人なら30万円、1割負担の人なら10万円を窓口で支払うことになります。もちろん、自己負担が1割から2割になった場合は、倍の医療費を用意しておかなければなりません。

体感的にわかるように、金額で具体的に見ていきましょう。まず、日本人の 2人に1人がかかるといわれているがん。死ぬまでにがんになる確率は、男性で66%、女性で50%といわれています。医療技術の進歩で多くの命が救えるようになり、 がんサバイバーとしてがんと共存しながら生活を送っている人も少なくありません。

一方で、経済的な理由によって治療を中止したり変更したりする患者は約3%、4.5万人ほどいると見られています。文字どおり、病気の値段が命に直結するのです。

たとえばがんにかかると、平均的な医療費の総額と入院日数は次のようになります。

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自己負担が1割から2割に引き上げられると、どれだけ負担が増すのか、数字にしてみると一目瞭然です。

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生活習慣病にかかる値段

次に、かかりやすい生活習慣病についても見てみましょう。

自分の財産をどう活かすか、それを設計できるのは自分自身でしかありません。

医療の世界でお金の話はタブーとされる風潮があります。しかし、自分の病気を治すためにいくらかかるのか、見当が付かなければ、用意のしようがありません。

病気になったときにかかるお金は、手術や薬代だけではありません。
とくに入院が必要な場合には、以下のようにさまざまなところで出費がかさみます。

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ほかにも、パジャマ代や着替え代、入浴に必要な石けんやタオル代などを含めると、入院したときに必要となる自己負担額は、なんと1日平均2万3300円。いまは、新型コロナウイルスのため自宅からの持ち込みができない病院も増えており、新たに日用品を買うことになれば、さらに出費はかさみます。

こうした費用は治療とは関係ないので、健康保険では補填されません。さらに、入院中は仕事を休むことになるため、収入が減るかもしれませんし、子どもや介護が必要な親を代わってみてもらうための費用も必要になるかもしれません。保険だけでは全然足りなかった、ということになりかねないのです。

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健康や命を守るお金の知識

新型コロナウイルスよって、私たちは健康や命を守ることに対する認識を改めさせられました。今後もまた 新たな未知なる感染症や病気が見つかるかもしれません。

あなたやあなたの身近な大切な人が入院・手術になったとき、後悔することのない治療を受けることができるように、治療代やアフターケアにかかる費用を知り、民間の保険の見直しも含めて備えていく必要があります。

今こそ、未来のための備えをはじめるチャンスです。


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